フリーランスに傷病手当金はない|病気になったときの収入を守る方法

フリーランスが収入保障を確認している様子 職業・状況別

フリーランスは傷病手当金をもらえない

フリーランス(個人事業主)が病気やケガで働けなくなったとき、会社員のような「傷病手当金」は受け取れません。

傷病手当金は、健康保険(協会けんぽ・組合健保など)の被保険者を対象にした給付制度です。フリーランスが加入する国民健康保険には、原則として傷病手当金の制度がありません。

会社員であれば、病気で4日以上休んだ場合に給与の約3分の2(標準報酬日額の3分の2)を最長1年6か月受け取れます。しかしフリーランスにはその仕組みがなく、働けない期間はそのまま収入ゼロになるリスクがあります。

ただし、例外があります。医師国民健康保険組合や文芸美術国民健康保険組合など、職能団体が運営する一部の国民健康保険組合では、独自の傷病手当金制度を設けているところもあります。加入している保険組合の規約を確認してみてください。

この記事では、フリーランスが病気になったときに収入をどう守るか、公的制度と民間保険の両面から整理します。

公的制度で使えるものは何か

傷病手当金は使えませんが、フリーランスにも使える公的な仕組みはいくつかあります。ただし、いずれも「働けない期間中の生活費をそのまま補う」ものではありません。

障害基礎年金

国民年金に加入しているフリーランスは、病気やケガで一定の障害状態になった場合に「障害基礎年金」を受け取れます。

受給するには、障害認定日において障害等級1級または2級に該当すること、保険料の納付要件を満たしていることなどの条件があります。

支給額(2025年度・要確認)は1級が年約97万円、2級が年約78万円です。ただし、軽度の病気や短期間の療養では対象にならない点に注意が必要です。障害年金の詳細は日本年金機構の公式サイトで確認してください。

国民年金保険料の免除・猶予制度

収入が大幅に減った場合、国民年金保険料の「免除制度」や「納付猶予制度」を利用できます。申請が通れば保険料の全額または一部が免除され、支払い負担を一時的に下げることができます。

ただし、これは保険料の負担を減らす制度であり、収入を補填するものではありません。

小規模企業共済

小規模企業共済は、個人事業主が廃業や引退に備えるための積立制度です。掛金は月額1,000円〜7万円で、全額が所得控除の対象になります。

病気による「療養中の生活費補填」には直接使えませんが、廃業せざるをえない状況になったとき一時金として受け取れます。また、解約返戻金(掛金総額の一部)を生活費に充てることも可能です(ただし加入年数が短いと元本割れするリスクあり)。

民間保険で備える方法

公的制度だけでは、病気療養中の生活費を賄うのは難しいのが現実です。そこで活用できる民間保険が2種類あります。

所得補償保険(短期間の療養に向く)

所得補償保険は、病気やケガで働けなくなった期間、毎月一定額を受け取れる損害保険の一種です。

  • 免責期間が短いものが多い(7日間など)
  • 給付期間は1〜2年程度が一般的
  • 前年の所得の70〜85%程度が給付上限の目安

傷病手当金の代替として短期的な収入補填を目的とするなら、所得補償保険が向いています。免責期間が短い分、入院を伴わない自宅療養でも対象になる商品があります。

就業不能保険(長期療養・重い病気に向く)

就業不能保険は、長期間にわたって働けない状態が続いた場合に給付金を受け取れる生命保険の一種です。

  • 免責期間が長い(60日〜180日程度)
  • 給付期間は60歳・65歳まで続く商品が多い
  • 精神疾患を対象にする商品もある(条件はさまざま)

がん・脳卒中・心疾患などで長期療養が必要になるリスクに備えるには、就業不能保険が向いています。フリーランスの場合は特に、収入が長期間途絶えるリスクが大きいため、優先度の高い保険のひとつです。

就業不能保険の詳しい選び方については、フリーランスに就業不能保険が必要な理由と選び方をご覧ください。

医療保険との違い

医療保険は入院・手術に対して給付金が出る保険です。収入の補填には直接つながらないため、所得補償保険や就業不能保険とは役割が異なります。

医療保険は「治療費の負担を軽くする」もの、所得補償保険・就業不能保険は「働けない間の生活費を補う」ものと整理してください。

どれを選べばいいか:状況別の判断基準

フリーランスの状況はさまざまです。以下の基準を参考に優先順位をつけてください。

まず確認すること

  • 収入が途絶えた場合、何か月分の生活費を手元に用意できるか
  • 扶養家族(配偶者・子ども)がいるか
  • 収入の変動が大きいか(案件単価・稼働量)

独身・扶養なし・貯蓄がある程度ある場合

緊急予備費(生活費6か月分程度)を確保したうえで、短期療養向けに所得補償保険に加入することを検討してください。長期リスクへの備えとして就業不能保険を追加するのもよいでしょう。

家族を扶養している・収入が生活費の大半を占める場合

所得補償保険と就業不能保険の両方を組み合わせる構成が現実的です。免責期間のすき間(例:就業不能保険の免責180日)を所得補償保険でカバーする考え方が参考になります。

収入が不安定で保険料の支払いが厳しい場合

まず生活費の積み立てを優先してください。保険料の支払い自体が生活を圧迫するようなら、掛け捨て型で保険料が低めの所得補償保険を選ぶか、保険加入を後回しにして緊急予備費を先に積み上げる判断もあります。

フリーランスが入るべき保険全体の優先順位については、フリーランスが入るべき保険5つ|会社員との違いと優先順位を解説も合わせて読んでみてください。

まとめ

フリーランスには傷病手当金がなく、病気やケガで働けなくなったときの収入補填は自分で準備する必要があります。

  • 公的制度(障害基礎年金・免除制度)は補填機能が限定的
  • 短期療養には所得補償保険、長期療養には就業不能保険が向く
  • 扶養家族の有無と貯蓄の状況によって優先順位が変わる

会社員との最大の違いは「傷病手当金という公的なセーフティネットがない」点です。フリーランスとして働き続けるためには、自分の状況に合った備えを意識的に作る必要があります。

傷病手当金の制度(会社員が退職後に受け取る条件など)については、傷病手当金の条件と金額の計算方法をわかりやすく解説もご参照ください。

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